近頃寒かったり暖かかったりです、メンフィスは。それでも北のほうでは吹雪だ、アイスストームだと厳しい冬のようです。オクラホマでは、一週間前の氷の雨(ここではアイスストーム)で、いまだに停電のところもあるとか。寒いでしょうね。がんばってますね。今日のメンフィスは曇ってますが、それでも12、3度にはなるそうです。前にボイラーをつけようかという話をしましたが、実はやめました。電気ガス代が高い。毎年光熱費が冬は3万円はくだらない。あまり裕福じゃない我が家はつらいです。それで、もう一つ大きめの電気ストーブを買い、それを使ってます。寝るときは足が冷えるので、ほっかほか座布団じゃないけど、電気で痛いところを暖める小さい(たて15センチ、横25センチくらい)パッドを足のところに敷いて寝てます。結構いいですよ。
さて、しばらく書いてませんでした。今年のはじめ、1月の手術以来、リビングで自分の生活をしています。寝るのも、コンピュータを使うのも、リビング。誰かがいると集中できないタイプなんです。それにリビングは2部屋になっていて、その間にドアがあるので、私のコンピュータのテーブルを引っ張ってこないといけないんですが、一人ではまだちょっと。母はこんな私を、まだ3才だからとからかいます。(この冗談はちょっと難しいかも、手術の後、一人で身の回りのことがなかなかできず、やっとトイレに一人で行けるようになった私を、やっと3才くらいになったね、と。冗談の塊です、母は。痛くてやっと歩いてる私を、ロボットのようというのには、私も自分のことながら大笑いでした)こんな毎日で冬眠しそうになってました。書きたいことはいっぱいあるんです、もち、独りよがりの興味でですが、ははは(つらいなぁ)。
きょうはNational Geographicと言う雑誌にあった、面白いと思った話をします。この雑誌はアメリカでは一流といわれ、話題は科学に関することなら何でもありです。この雑誌は、ビリちゃが前働いていたところのお母さんが、クリスマスプレゼントにと我が家に毎月送られてきたものです。でも残念なことに去年、82才でがんで亡くなりました。
今回は「記憶」についてです。なぜかこの話題には興味があります。
ここで、二人の人を紹介してます。一人は今までのことをすべて覚えていると言う女性。もう一人は、ヘルペスのため短期記憶を行う脳が無くなってしまった男性の話。二人とも、脳学者たちが長年にわたり研究を続けているそうです。
まず、すべてを覚えていると言う彼女の話。私なんか、昨日のことも忘れてるのに、彼女はすべて覚えているそうです。そこで面白いと思ったのは、毎年決まったころ同じような気分になるというんです。そこで私もふと(そういえば、誕生日11月23日です、念のため、から新年にかけてなぜか具合が悪かったな。25才のときはおたふくで入院したし、19のときは腹膜炎)。12月ころになると、気分が落ちるんです。年末年始は嫌いだった。なんとなく一人で納得。皆さんも思い出してみてはどう?
そして、彼女は悪いこともいいことも全部覚えているわけです。いい記憶はいい気分にしてくれますが、悪い記憶は、後悔の念とかで自分が許せなくなるそうです。しかもしっかり覚えていますから、自分をかなり責めるとか。これはつらいですね。私も失敗だらけで、ちょっとでもいやなことを思い出すと、もう心がぼろぼろになります。結構自分を許せないってことありますよね。忘れるっていいことだと思いました。必要なことなんだとわかった。どうでしょう?
もう一人の男性は70を過ぎています。写真では80くらいに見える。短期記憶が無いんです。短期記憶というのは、例えば今タイプをしていますが、ねこが鳴いて、そっちを見ても、私たちは普通タイプしてたことを忘れません。明日になったら、タイプしたのとねこが鳴いたのは忘れてるかもしれませんが。この短期記憶の無い人は、ねこが鳴いてそっちを見たら、それでもうタイプしてたことさえ忘れると言うことです。今誰かにあって「初めまして」と言って、他のことをしたらもう「初めまして」は忘れてると言うことです。短期記憶があって、新しいことを学び、それを長期記憶にもっていって貯蔵するんです。年が行くと貯蔵もそれなりに多くなり、思い出すのが大変になると言うこと。ほら、引越ししてきたばかりのころは物が少なく何があるかわかるけど、しばらくすると物が増えてどこにあるのかわからなくなりますよね。あれと同じようなことだそうです。
ですから、朝ごはんに何を食べたか忘れるのはいいんです。でも、朝ごはんを食べたのさえ忘れるのはちょっとね。この男性は、朝ごはんを多いときは3回食べるそうです。
短期記憶が無いから、学習できないと思いました。ですが、もう一つおもしろいことは、こういう人も知らないうちに(まったく文字通りですね)学んでるんです。定期的に、脳を研究する学者がこの男性に同じ質問をしています。クイズみたいなもので、鏡を見ながら迷路のようなものを解くんです。彼にしたら毎回初めてのことです。研究者が来るたびに「初めまして」から始まります。そして同じクイズを毎回します。そこでわかったことは、クイズを解く時間が早くなっていると言うこと。他の例では、これは私が大学で心理学のクラスをとっていたときに、教授が話してたんですが、ある研究者が会うたびに手に画鋲のようなものを持って握手をするんです。「初めまして」って。すると、「あっ、痛い」と言うことに。でも記憶がありませんから、会うたびに「はじめまして」「あっ、痛い」の繰り返し。すると、そのうち、「初めまして」と手を出していたのが、なかなか出したがらなくなるそうです。でも本人はわかってないんですが、学習してるんですね。何かあるぞって。
当然自分のことも忘れてます。ある日、研究者と散歩に出ました。同じコースを歩きます。はじめは妻が心配して付いていきましたが、必ず戻ってくるので、今は一人で散歩してるそうです。彼は覚えていなくても、何が、どこが安全かわかっているそうです。直感って大切なんですね。彼は直感で生きてるんだなって思いました。だから挨拶も、自分では知らないと思っても、安心できる人にはするんですね。私も自分の直感をもっと大切にしたいと思いました。散歩の終わりころ、車が止まっていて、自分の顔が映ったとき、この男性は「ふん、老いぼれか」ってもらしたそうです。でもその“老いぼれ”は自分の姿なんですね。ちょっと笑っちゃいました。皆さんも笑ってくれるとうれしいです。
じゃまた、
付き合ってくれてありがとうでした。